【読了】あられもない祈り

2014年読書初めはこれ。久々の島本作品。
書初めにしては気力のいる一冊だった。

冷たくて重たくて痛々しくて息苦しくてヒリヒリしてて救いようがない。不器用でわがままで甘えたで置き去りにされることに怯えてる子供のような大人が3人。

メインの「私」と「あなた」の名前は出てこない。この2人の関係は不倫です。「あなた」は傍目から見たらダメ男なんだけど、直樹と比べると少しはまっとうに見えるんだよね。
そして「私」と同棲してるのが直樹。これが本当に難有りな男。酒癖は悪いし口も悪い。直樹との恋愛描写は辛いの一言で、読んでて苦しくて哀しくてどうしようもない。それでも傍にいる「私」には全然共感できない。

全編を通して救いようのない人間ばかり出てきて、ただただ辛いだけなんだけど読むのをやめられなかった。
あとちょっと話の繋がりがわかりにくいかな。でも島本さんの詩的というか文学的な描写は相変わらず綺麗。